concept
治療コンセプト
健康で笑顔になれる 矯正歯科治療を

矯正歯科治療では、「歯並び」「かみ合わせ」「横顔の美しさ」の3つを整えることが重要だと考えています。 この三要素を達成するためには、治療ゴールを高く設定する必要があり、それには私たちの治療技術と、妥協せず仕上がりを追求する姿勢、そして患者様ご自身の強いお気持ちが不可欠です。
そのうえで、できるだけ治療を円滑に進め、患者様の負担を減らし、治療後の安定性を高めるためには、矯正治療開始前に顎関節(下顎位)の安定が得られているかどうかが非常に重要になります。
補綴治療(入れ歯やインプラント)の分野では、下顎位の重要性は以前から指摘されてきましたが、矯正歯科の分野でこの点にいち早く着目したのが、Ronald H. Roth先生です。
Roth先生は、世界中で使用されている矯正用ブラケット「Rothタイプ」を選定したことで知られる有名な先生であり、顎位の安定化 → 下顎のオートローテーションによる垂直的問題の改善 → 横顔の美しさまでを追求した矯正治療体系(Roth philosophy)を確立されました。
この治療体系は、理論的かつ精密な治療を求められる、非常に難易度の高いものですが、諸先輩方の研鑽とご指導のおかげで、当院でもRoth philosophyに基づいた矯正治療を提供できるようになっています。
患者様が長期にわたって健康で笑顔あふれる未来を過ごしていただくために、私たちは医学的根拠に基づいた丁寧な治療を行っています。 また、治療中の負担軽減にもできるだけ努め、安心して治療を受けていただける環境づくりにも配慮しています。
「顎関節と顔貌の 調和を考える」 Roth philosophyとは

ロス フィロソフィー(Roth Philosophy)とは、「機能的で美しい咬合(かみ合わせ)」と「調和のとれた横顔」を達成するためには、「下顎位の安定化」が不可欠であるという矯正歯科治療体系のことです。これを達成するための診断方法・装置・フォースシステムなどは、きっちりと体系化されています。
もともとは、Ronald H. Roth先生が提唱された考え方ですが、近年は歯科用cb-CTの普及や顎関節MRI撮影の一般化などにより、より精度の高い治療体系へと日々進歩しています。
下顎位の安定化の重要性については、補綴学(入れ歯やインプラントなど)の分野では、ナソロジーなど1970年代から重視されてきた概念で、現在でも、インプラント補綴や全顎補綴を真剣に行う歯科医師にとっては、当たり前の考え方とされています。
一方、一般的な矯正歯科治療では「歯を動かすこと」のみに意識が向きがちです。 しかし、Roth Philosophyでは、顎関節の健康(関節円盤の転位や筋症状)や顔貌全体との調和を重視し、治療ゴールを慎重に設定します。
例えば、顎関節に問題がある患者様の場合、矯正治療を始める前におよそ6か月間、ナソロジカルスプリントを用いて下顎位の安定化を図ります。この安定化が確認できて初めて、ワイヤーによる矯正治療へ進みます。
一見、治療期間が延びるように思われるかもしれませんが、「急がば回れ」。ワイヤーによる矯正治療は、顎位の安定化が見られる場合には、むしろスムーズに進むことが多いというのが私たちの実感です。
また、Roth Philosophyでは経験だけに頼らず、科学的な分析に基づいた、数値化された明確な治療ゴールを設定するため、治療の再現性が高く、安定した治療結果を得やすい治療法です。
Roth先生の考え方に賛同し、実際に臨床に取り入れている先生方も数多くいらっしゃいます。ただし、Roth Philosophyは完成された治療体系であるため、部分的に「いいとこ取り」をするのは難しいという印象を私自身は持っています。丁寧に積み上げていく姿勢が何より大切です。
Roth Philosophyは、学術的根拠に基づき「毎年アップデート」される進化型の治療体系です。 詳しくは、ロススタディクラブジャパンの公式サイトをご覧ください。
顎関節の安定が
治療成功の鍵に

矯正歯科治療では、「歯並び」や「かみ合わせ」を整える前に、まず顎関節(下顎位)の安定化が重要です。歯は顎の骨の上に並んでおり、それはちょうど家を建てる際の“土台”や“基礎”にあたります。土台となる顎の位置がずれて不安定なままでは、どれだけ丁寧に歯並びを整えても、家が崩れてしまうようにかみ合わせも安定しません。
また、重度の顎関節症をお持ちの患者様の場合、たとえ事前に顎位の安定化を図ったとしても、健全な関節の患者様と同じようなゴールでは仕上がりません。
そのため、顎関節の状態を含めた顎顔面全体を適切に診断し、患者様それぞれの状態に合わせた治療のゴールと治療方法を選択することが大切だと考えています。
Roth philosophyで導く 理想的な横顔

Roth先生は「顔の美しさを損なってまで歯を並べてはいけない」という考えをお持ちでした。 矯正歯科治療では、症例によっては抜歯が必要になることがあり、患者様に大きな負担をかける場合があります。誰も歯を抜きたいとは思いませんが、もし「歯を抜く必要がある」と判断された場合、①「歯を抜かずにできる範囲での治療ゴール」を選ぶか、②「歯を抜くからには理想の治療ゴール」を追求するか、という選択に迫られます。
当院では、「機能面も審美面も妥協したくない」という考えから②を選択しています。一方で、①を選択される矯正歯科医院も存在します。どちらが正しい・間違っているという話ではなく、患者様ご自身の考えに合った医院を選ぶことが大切だと考えています。
特に審美性については、患者様の年齢やライフステージによって治療ゴールを変える必要があるため、単一的な指標だけで決めるのではなく、患者様とよく話し合いながら治療方針を決定することが重要です。
矯正歯科治療で 大切にしていること
その1:一人ひとりに適した治療ゴールと治療法のご提案

患者様ごとに、口腔内の状態や理想とされる治療ゴールは異なります。 当院では、治療方針を立案するにあたり、精密検査の結果を科学的に評価し、患者様一人ひとりのご要望や口腔内の状態を踏まえたうえで、Roth Philosophyに則った治療ゴールおよび治療方法をご提案いたします。
その2:顎関節の安定化が得られてから矯正治療に入ります

当院の矯正歯科治療は、「①顎関節の安定化」「②歯並び・かみ合わせの治療」「③保定」という流れで進みます
一般的な矯正歯科治療には、「顎関節の安定化」というステップはありませんが、“急がば回れ”の姿勢こそが、長期的な成功への近道であると考えています。
その3:患者様への負担が少ない矯正歯科治療をご提供

治療のゴールを高く設定することで、患者様への負担は少なからず増加します。 その負担を少しでも軽減するために、当院ではより高性能な矯正材料を用いて対応しています。
たとえば、摩擦係数の低いブラケットを選択したり、治療初期の凸凹を改善するステージでは、院長が研鑽を積んだ東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)で開発された、超弾性のある形状記憶合金(NiTi)やβ-Ti系ワイヤーを用いることで、やさしい力で効率よく歯を動かすことが可能です。
また、抜歯空隙を閉鎖し、前歯を一塊で後方に移動させるステージでは、Roth philosophy特有の力系を発揮する「Double Keyhole Wire」というワイヤーを用いることで、通院回数や治療中の痛みを軽減できるよう配慮しています。
矯正装置について見るその4:一人ひとりに合ったゴールに基づく治療とメインテナンス

当院では、患者様と治療のゴールをしっかり共有した上で治療を進め、そのゴールと実際の結果を比較してメインテナンス方針を決定します。特に前歯など、口元の印象を左右する部分は、長期的な美しさと機能性が両立できるように継続的にサポートを行っています。
その5:美しさと機能性を保つメインテナンス

普段の生活の中で口腔内の状態や歯並びは、徐々に変化していきます。そのため、矯正歯科治療により、美しく整えた歯並びとかみ合わせを末永く維持するには、定期的なメインテナンスが欠かせません。当院では、矯正歯科を専門的に学んだ歯科衛生士が、治療後も継続的にメインテナンスを担当いたします。治療後は年に1~2回程度の通院で、健康的で美しい歯並びを長期的に守っていきます。
矯正終了後のメインテナンスについて見る
患者様との対話を大切にし、 納得いただいてから 治療を進めます

初回カウンセリングは、60分ほどお時間をいただいています。患者様と真摯に向き合い、ご要望やご不安、生活スタイルまでお伺いし、納得いただいた上で治療を進めます。疑問やご不明なことがありましたら、お気軽にご相談ください。患者様が安心して治療に臨んでいただけるように、分かりやすく丁寧にご説明いたします。